001
もういちど看取りたい
A.A様 89歳(男性)
胆管癌末期
奥様と二人暮らし、ポータブルトイレへの移乗に全介助が必要な方。
奥様と二人暮らし、ポータブルトイレへの移乗に全介助が必要な方。
⽀援内容
がん末期のターミナル支援として、清潔ケアをメインとして訪問看護を開始しました。
奥様はオムツ交換が初めてのご経験でしたが、献身的にご協力いただきました。
幸い苦痛を訴えることなく過ごすことができており、清潔ケアを一緒に行ったり、嚥下機能の低下時には食形態変更の提案や、食欲低下時は栄養補助食品の提案を行い、一時的に点滴をすることもありました。珍しいフルーツを扱う仕事をされていたのを聞いて、様々な種類のフルーツ画像を印刷したものをお渡ししたら、昔のエピソードを話して下さり、穏やかな時間を過ごすこともできました。
奥様はオムツ交換が初めてのご経験でしたが、献身的にご協力いただきました。
幸い苦痛を訴えることなく過ごすことができており、清潔ケアを一緒に行ったり、嚥下機能の低下時には食形態変更の提案や、食欲低下時は栄養補助食品の提案を行い、一時的に点滴をすることもありました。珍しいフルーツを扱う仕事をされていたのを聞いて、様々な種類のフルーツ画像を印刷したものをお渡ししたら、昔のエピソードを話して下さり、穏やかな時間を過ごすこともできました。
利⽤後の経過
ご自宅にてお看取りさせて頂きました。
グリーフケア(亡くなられた後の自宅訪問)で奥様にお会いした際、大変だったけど、あんなにいい時間はなかった「もういちど夫の看取りをしたい」と話されていたのが印象的でした。自宅で旦那様を看取ることができたことは、奥様の人生にとって、何事にも代えがたい貴重な時間であったのだと実感しました。同時に、訪問看護師として最期に関わらせて頂いたことを誇りに思いました。
グリーフケア(亡くなられた後の自宅訪問)で奥様にお会いした際、大変だったけど、あんなにいい時間はなかった「もういちど夫の看取りをしたい」と話されていたのが印象的でした。自宅で旦那様を看取ることができたことは、奥様の人生にとって、何事にも代えがたい貴重な時間であったのだと実感しました。同時に、訪問看護師として最期に関わらせて頂いたことを誇りに思いました。
担当看護師の想い
最初にご自宅で看取りたいという気持ちを伺っていましたが、状態が悪化してきた際、奥様は入院した方がいいかどうかを迷われました。いざ自宅で看取ると決めていても、不安な気持ちが出てきて戸惑ってしまうことがあります。そんな気持ちをしっかり支えるのは、訪問看護の大切な役割の一つだと思いました。
002
何があっても自宅で過ごしたい
Y.U様 80歳(男性)
多系統萎縮症、気管支喘息。妻と二人暮らし。睡眠時の無呼吸があり夜間のみHOTを導入。嚥下機能や食欲の低下、痰の増加が見られ、時々吸引が必要な状態。リラクゼーション目的でリハビリが介入。
⽀援内容
看護は、体調確認や食形態の相談、吸引の指導、褥瘡予防などで介入していました。奥様が夜間も含めて献身的に介護されており、疲労感も伺える状況がありました。特に夜間の無呼吸は不安感も強く、NPPV(非侵襲的陽圧換気)の導入を勧めていました。装着のためには検査を含めた一時的な入院が必要でしたが、本人が入院を拒否されていたため、導入には至りませんでした。肺理学療法や呼吸のしやすい体位の工夫など、奥様と共に対応策を考えることもありました。
利⽤後の経過
誤嚥による痰が増えた日、臨時の往診医の診察にて抗生剤治療が開始となりました。夜間、奥様が吸引された後、いつものような無呼吸となり、そのまま呼吸が再開することなく眠るように最期を看取ったと話されてました。奥様の中では、長い在宅生活を支えてきて「やりきった」という想いだったと思います。
担当看護師の想い
ご本人の自宅で過ごしたいという想い、一時的でも入院はしたくないという想いの中で、奥様の気持ちに寄り添い、自宅でできることを最大限やって支えることができたと思います。リハビリスタッフも含めて、訪問している時間をいかに心地よく過ごして頂くか。少しでも長く自宅で過ごす時間を延ばせるか
を奥様と一緒に考えることができたと思います。
を奥様と一緒に考えることができたと思います。
003
大切な人を自宅で看取るということ
U.I様 79歳(男性)
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
奥様同居で、ご夫婦仲が大変良くご自宅での看取りを希望。
奥様同居で、ご夫婦仲が大変良くご自宅での看取りを希望。
⽀援内容
重度状態においても、自宅療養へご本人様もご家族様も強い思いがあり、週3回の訪問看護介入となりました。
COPD重度の為、都度ドレナージによる排痰法実施が必要であり、奥様のご協力もあり訪問時に在宅酸素MAX7Lで入浴介助を実施しました。ご本人様に「いつもすみません。ありがとう。看護師さんのおかげでお風呂に入ることができる。病院じゃできないからね。」とのお言葉をいただけた。訪問中に奥様が出掛けられるように調整し、奥様の時間を設けるなどしていました。訪問看護介入を続け、奥様のご協力にてご逝去前日までご入浴することができました。
COPD重度の為、都度ドレナージによる排痰法実施が必要であり、奥様のご協力もあり訪問時に在宅酸素MAX7Lで入浴介助を実施しました。ご本人様に「いつもすみません。ありがとう。看護師さんのおかげでお風呂に入ることができる。病院じゃできないからね。」とのお言葉をいただけた。訪問中に奥様が出掛けられるように調整し、奥様の時間を設けるなどしていました。訪問看護介入を続け、奥様のご協力にてご逝去前日までご入浴することができました。
利⽤後の経過
訪問介入期間は約半年間で、5名の看護師にて対応させていただいた。ご本人様の最期まで自宅で過ごしたいという強い思い、またご家族様がご自宅で看取りたいという思いに寄り添うことができました。ご家族様がこのまま自宅で看て行くことができるのか?という、日々変化する気持ちにも寄り添う事ができ、最期はご家族様に見守られながら自宅で看取ることができました。
担当看護師の想い
グリーフケア(供花を持って)に3名の看護師でお伺いした際に、仏壇で笑っていらっしゃるご利用者様を囲みながら奥様とこれまでの過ごし方を振り返り笑い泣きされました。関わった看護師は娘のような気持ちで訪問していました。家族の一員になれた気がして、必死にケアを実施できました。
004
妻の看取り後、自身も癌末期
T.S様 72歳(男性)
胃癌末期。
次男様と同居だが日中は独居状態。
次男様と同居だが日中は独居状態。
⽀援内容
全身状態観察、疼痛管理、麻薬管理、入浴介助、家族ケアとして介入させていただく。
ご本人様はご自宅にて、総合失調症かつ乳癌末期自壊ありの奥様を献身的に介護されていた。ご自宅で奥様を看取られた後に、ご自身が胃癌末期診断を受けられた。奥様に介入させていただいていた私たちの訪問看護を利用し、ご自身も最期まで自宅で過ごすことを選択された。主に疼痛コントロールの麻薬管理を実施しました。
ご本人様はご自宅にて、総合失調症かつ乳癌末期自壊ありの奥様を献身的に介護されていた。ご自宅で奥様を看取られた後に、ご自身が胃癌末期診断を受けられた。奥様に介入させていただいていた私たちの訪問看護を利用し、ご自身も最期まで自宅で過ごすことを選択された。主に疼痛コントロールの麻薬管理を実施しました。
利⽤後の経過
訪問介入期間は5カ月となり、ベッド上での洗髪等も実施させて頂きました。とても我慢強く謙虚な方でいらっしゃった。韓流ドラマが好きで、よく話をしながら関りを持つことができました。
担当看護師の想い
奥様にも関わらせていただいたこともあり、ご家族が介護するように接することができました。
005
エンゼルケア
T.A様 90代(女性)
老衰ターミナル。
長男家族、孫家族そしてひ孫の大所帯の家族構成。
1年程訪問看護介入となるが、家族のサポートが厚く福祉用具のみ利用であった。訪問診療月2回と訪問看護週2回利用で医療の目を確保していた。
長男家族、孫家族そしてひ孫の大所帯の家族構成。
1年程訪問看護介入となるが、家族のサポートが厚く福祉用具のみ利用であった。訪問診療月2回と訪問看護週2回利用で医療の目を確保していた。
⽀援内容
これから亡くなるかもしれない、看取りが近い家族がいる事が、どれほど心細く不安であるか。
看取りのサインが近づいてきて、様々な清潔ケアやマッサージ、タッチング、アロママッサージ、音楽ヒーリングを一緒に行い、その時を迎えました。
ひ孫様(幼稚園の女の子)は、寒がりだったご利用者様の新しい着替えを、看護師がいつも布団の中の足元で温めたり、ストーブ前に置いていたりしていた事を覚えていました。看護師がお身体を拭いてる時には、大婆ちゃんの為にストーブで温め始めてくれました。家族みんなで、エンゼルケアをして化粧をし、本来はお看取りした後はお身体を冷却するのですが、暖かいお気に入りの服を着ていただきました。その時の、家族の満足そうな顔は忘れられません。
看取りのサインが近づいてきて、様々な清潔ケアやマッサージ、タッチング、アロママッサージ、音楽ヒーリングを一緒に行い、その時を迎えました。
ひ孫様(幼稚園の女の子)は、寒がりだったご利用者様の新しい着替えを、看護師がいつも布団の中の足元で温めたり、ストーブ前に置いていたりしていた事を覚えていました。看護師がお身体を拭いてる時には、大婆ちゃんの為にストーブで温め始めてくれました。家族みんなで、エンゼルケアをして化粧をし、本来はお看取りした後はお身体を冷却するのですが、暖かいお気に入りの服を着ていただきました。その時の、家族の満足そうな顔は忘れられません。
利⽤後の経過/訪問看護の想い
ご挨拶の際には、ご家族から「今は、家で死んでも安心なんですね。あんなに、家族でしてあげられたから、良かったです。」と言われました。エンゼルケアは故人を送り出すものではあるが、家族が何かやってあげれた、参加できた、という思いになれるように支援することの大切さを実感しました。エンゼルケアは、家族のためにあり、家族の満足につながるような家族看護のあり方を学びました。
006
在宅看護から人生観を学ぶ
K.K様 60代(女性)
糖尿病を患い、足を切断する治療方針に傾いておりました。
糖尿病と真剣に向き合ってきた経過があり、ご自宅(独居)で創部の治療を続けてみたいと希望されておりました。
糖尿病と真剣に向き合ってきた経過があり、ご自宅(独居)で創部の治療を続けてみたいと希望されておりました。
⽀援内容
毎日2回、関節腔にまで至る深い創部を洗浄しました。
形成外科に通院も続け、生活全般を一緒に見直し、血糖値も安定してきました。足の切断をせずに済み、リハビリを通して、台所で料理できるようになりました。
様々な人生経験、お仕事に就かれてきた女性でしたので、ケアさせていただいているこちらが、訪問のたびに人としてのあり方や人との関わり方など多くを教えていただきました。いつしか、スタッフの相談の場となっていました。
形成外科に通院も続け、生活全般を一緒に見直し、血糖値も安定してきました。足の切断をせずに済み、リハビリを通して、台所で料理できるようになりました。
様々な人生経験、お仕事に就かれてきた女性でしたので、ケアさせていただいているこちらが、訪問のたびに人としてのあり方や人との関わり方など多くを教えていただきました。いつしか、スタッフの相談の場となっていました。
利⽤後の経過/訪問看護の想い
最期まで6年間訪問させていただきました。在宅療養される方のケアをしながら、病気ではなく人を看る訪問看護での関わりを通して、自分の人生観をも変えられるようなケアが大切だと学べました。今でも、ご家族と近況報告をして繋がりが続いております。